半年以上前だったと思います。次の池井戸ワールドの題材がラグビーだと知ったのは。編集室だより()No.38(沖縄)で紹介させていただいたように、ラグビーに捧げた高校時代を持つ私にとっては大事件でした。間近にアジア初のワールドカップ開催を控えた今、にもかかわらず、前回(2015年イングランド開催)現地紙が「ラグビー史上最大の奇跡」と称えた南アフリカ代表撃破当時のフィーバーが嘘のようなやけに静かな今、そのストーリーは?、著者の狙いは?、などいろいろと想像を掻き立てられました。『2015 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)トップ10に選出された「五郎丸(ポーズ)」の五郎丸歩選手は、その後一体どうしたんでしょうか?ここ旭川にきて7年余り、全くラグビーから遠ざかっていた身にとって、その作品の出版を心待ちにしていました。
先日本屋でみかけた「ノーサイド・ゲーム」(池井戸潤著、ダイヤモンド社刊、2019/6/13)、この土日で読破しました。事の真偽はわかりませんが、なぜラグビーに人気がないのか、に関して、極めて示唆的に、かつその対策についても紹介がなされていたのには驚きました。
思えば、自身の高校当時、ラグビーもサッカーも不人気でした。卒業して間もなく、ラグビーは大学選手権など瞬間フィーバーし、すぐ下火になった後、代わって、Jリーグ発足に伴いサッカーがあれよあれよという間に人気スポーツに上り詰めていきました。
ところで、当編集室だよりでは、ここのところバーチカルvs簿冊について論じさせていただいています。報文などいろいろ読み漁った中で、一報看過できないものがありました。フォルダーは文書を綴じないので紛失しやすい、ということに対して、「実際には、綴じていないために紛失したということは聞かない」と断じています[1]。本当にそうなのでしょうか?私自身は、現状に鑑みて、編集室だよりNo.44で紹介した埼玉県立文書館からの報文で述べられていたこと()[2]が、より現実的な意見だと感じています。市区町村で実務に携わる方々からのご意見など、是非お聞かせいただきたいです。
自然災害大国日本では、文書管理を進めるにあたり、BCPの観点からの検討が不可避と私は考えています。またネットや書籍の形で流通している文書管理、ファイリングシステムに関する情報が、あまりにバーチカルファイル方式に偏っていることに、常日頃不思議の感を持っています。今後の論争(?)を公平に行うためにも、是非皆様からのご意見、体験談をいただければと思う次第です。よろしくお願いします。
「ノーサイド」というのは、ラグビーで使われる有名な言葉の一つです。もう一つ、ご存知の方も多いように、「All for One, One for All」というのがあります。今回を機にネット上で調べてみたところ、どうやら2つとも世界共通語ではなく、現在は日本でしか使われていないようです。しかしながら、ラグビー自体に内在する精神を端的に著した言葉には違いないと思うので、ぜひ、今回のワールドカップ開催期間中を通じて、世界に向けて発信していって欲しい。
池井戸ワールドでは、最後、意味上も形上も、予測を遥かに超える大団円で終わるのですが、バーチカルvs簿冊も、勝ち負けを越え、最良の枠組みへと昇華していって欲しいと願っています。
7月7日から、TBS系日曜劇場で、()「ノーサイド・ゲーム」の放映が始まります。北海道が誇る演劇ユニット()「TEAM NACS」の最終メンバーとして池井戸ワールドに初参戦、しかも主演を張る大泉洋さんと、タフな世界的アクションスター千葉真一さんの息子である眞栄田郷敦が演じる10番SO七尾選手の活躍を楽しみにしています。そして、番外編として、日本ラグビーフットボール協会が公募していた「BEYOND2019戦略室」マネージャー[3]に、誰が収まり、どのような動きをしていくのか、大変関心が持たれます。
[1] 「ファイリングシステム導入時における阻害要因に関する一考察
〜自治体の文書管理担当者へのエールになることを願って〜」()
別府雅彦(宮崎県都城市役所)2010年4月12日
2010年度ADMiC懸賞論文
[2] 「ファイリング・システムと文書の秩序維持について
−埼玉県立文書館における歴史的資料の整理業務から−」()
大石三紗子、文書館紀要第24号(2011.3) p.37-51
[3] 「勝負はW杯後 ラグビー協会、年収1000万で人材募集」()
北西厚一(日経ビジネス記者)日経ビジネス電子版 2019/5/30
文書管理通信編集委員見習い 樹令(いつき・れい)
2019年6月28日 |