今回から3回にわたって「地方自治における電子情報記録媒体の管理」について特集しています。第一回は電算機の登場により、文書の範囲に電子情報記録媒体が含まれるようになる過程と、その電子情報記録媒体の管理の現状について説明しています。
地方自治体が電算機を始めて導入したのは、昭和38年の東京都と神奈川県です。そして平成7年4月1日現在では総ての都道府県と2,399の市町村(全3,304)が電算機の単独導入を行ない、153市町村が共同導入による電算処理を行っています。
当時では多くの自治体が財務会計に電算処理を導入しています。ここで発生した電子情報記録は財務会計規則の適用を受け、保存年限が決定されますが、その情報を保管、保存、引継、廃棄について紙文書ほどには整備されていません。
平成6年、戸籍法が改正され戸籍の電算化が認められました。また、平成7年2月には除籍又は改製原戸籍の記載情報を画像情報処理方式によって光ディスクに記録し、その光ディスクを正本として取り扱うことが可能となりました。
ここで特筆すべきはまず戸籍の処理に磁気ディスク、除籍・改製原戸籍に光ディスクが認められたという点、第二はコード情報、画像情報が共に認められたという点です。
文書の概念も今日では大きく変わりつつあります。平成8年6月に公布された民事訴訟法第321条(文書に準ずる物件への準用)この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものに準用する。とあります。
各自治体における文書管理規程には、なにが文書かのような具体的な定義はないまま、いわば慣習・慣例的にあるいは法的証拠能力の観点から判断されているといえます。
現在の電子情報記録媒体の管理としては、昭和59年の「事務次官等会議申合せ」としてだされた「電子計算処理データ保護管理準則」、「電子情報処理組織による戸籍事務の取扱いについて」(平成6年11月16日法務省民第二第7001号民事局第二課長依命通知)によって規定されていますが、これらは、個人情報の保護やデータ滅失の防止のための保護管理規程であり、文書管理といった場合の管理とはニュアンスを異にしています。
磁気テープ、磁気ディスク、光ディスクに紙文書のようなライフサイクルを定めた規程、規則等を制定し、実際にこれらを引継ぎ等の対象としている地方自治体はあるのだろうかと記事は結んでいます。
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