第26号の特集記事は、尼崎市立地域研究史料館白石健二氏による「阪神・淡路大震災に記録とその保存−『忘れてはならない震災の光景』によせて−」です。
白石健二氏は、震災から2か月余経過した1995年4月1日から10回、居住地である奈良県生駒郡平群町で『忘れてはならない震災の光景』を発行されました。被災した尼崎市と奈良県との震災についての意識の差を痛烈に感じたからだと述べています。
この記事は、震災等の大規模災害の際の文書の記録と保存について、『忘れてはならない震災の光景』の抜粋で構成されています。
震災以降様々な立場で様々なメディアを通して記録は増え続けています。「震災の教訓を活かすため記録を残そう」等の意識からだといえるでしょう。その中で、これらの記録を後世に残そうという動きが出てくるのは自然な流れとも言えます。史料保存施設、図書館、行政、民間団体、ボランティア等多くの動きがあります。
これに対し、日本では行政文書・資料を歴史資料として保存し公開するといった意識が低く、当然これらを収集・整理・保存・公開している施設も少ない、」としています。
被災地で今後取り組むべき、震災記録の収集・保存は現実にはほとんど未開拓の分野といっていい。これを推し進めるにはかなりの困難を伴うが、震災から真に教訓を後世に伝えるためにも今動く時期だろう、と述べています。
『忘れてはならない震災の光景』は、震災当時の状況が詳しく伝わってきます。なかでも<1>平成7年1月17日午前5時46分という記事は地震当時の筆者の体験した情況が生々しく語られています。その他、震災当時の焼け跡の写真、駅の貼紙等の写真が掲載されています。
地震の多い静岡県に住んでいる私は、改めて阪神・淡路大震災で被災された皆様の貴重な経験を、教訓としていきたいと思いました。 文書管理通信第26号全部をPDFでご覧になりたい方はこちらへ!
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