今では官庁の行政文書がA判なのは、至極あたりまえのように思われますが、地方自治体として最も早く、昭和59年から文書のA判化に取り組んだのが、神奈川県大磯町だということです。
大磯町ではA判化を実行するため、第一にファイリングシステム構築の一環として行ったという点、第二にできるものから順次A判化をはかったという点、第三に什器(バーチカルキャビネット等)の変更から開始したという点が特筆されます。さらに、8号の発行当時(平成4年)、大磯町で作成される文書は約6割がA4判化されており、この時点で10年も前に構築されたファイリングシステムが機能し続けています。その理由の第一は毎年秋に行われる実地指導と、年度末に引継ぎによる年2回のチェック機能、第二は什器等の購入権限が事務局に与えられている点としています。大磯町では、文書係長が「町の規模が大きすぎず、職員の前向きな協力体制があったのがよかったんですよ」とお答えになっています。
次に、静岡県のA判化についての記事が掲載されています。行政文書のA判化は、単に用紙のサイズを変更するだけではなく、「行政文書の用紙規格のA判化実施方針」にうたわれている「文書管理事務の効率化」を実現するために、「文書の簡素・平明化、減量化」をはかる必要があります。静岡県では、これまでB4判であったものをA4判になるよう様式の見直し、両面使用の検討をする予定です。什器は使用法を変更することで従来のものが使用できるとし、現在各課で文書の実態調査を行い、今後この調査に基づいて更にA判化の具体的な対応を検討していく予定としています。
行政機関も規模が大きくなると、ひとつのことを変更するにも多大な手間と時間がかかるように思われます。
栃木県小山市で総務課、市立博物館共催の文書保存講演会「記録史料の保存と文書館」が開かれました。講師である茨城県立歴史館の主任研究員、高橋実氏は、特に「行政文書は地域住民共有の財産」との基本認識から「公文書は行政側の都合で廃棄されてはならず、将来にわたって住民のために保存し、利用されるべきである」と訴えました。その住民の財産である行政文書の保存と公開のための文書館設置促進の重要性を重ねて強調しました。
文書管理用語定義集(第2回)では、アーカイブ、アーキビスト、ドキュメントについて定義しています。
“紙”問題を考える(第3回)は紙の劣化についてです。紙の劣化は白色度の低下と強度の劣化に分けられ、基本的には別の現象ではありますが、それぞれ様々な要因が複合的に作用して引き起こされ、同時に進行しているケースが多いといえます。
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