今回の文書管理通信では、前年(1992年)に行われた文書管理実態アンケートの結果として、静岡県内74市町村中、44市町村からの回答結果が掲載されていました。
平成4年に実施したアンケートではありますが、文書管理に素人同然の私の感想でありますが、現在の地方公共団体での文書管理の現状を考えるのに役に立つのではないかと思われる個所がいくつもあるように思えました。
回答結果の中には、自分の市町村での文書管理の実態を不満に思うと答えた結果が79.5%と大半を占めており、大いに不満の9.1%と合わせて計88.6%に対して、満足と回答されたのは11.4%に過ぎません。また文書管理が総務課主導ではなく、各課単位と答えられている団体が40.9%あります。この6号でのアンケートから約8年経過して、同じ質問内容のアンケートを同じ団体に対して行っています。(46号/1999年10月)定点観察のようで面白い。
これは情報公開法が施行された年ですが、驚くべきことに8年経っても、自団体の文書管理に対する不満度は、ほぼ6号のアンケート結果と同じ水準でした。
私がこれまで漠然と、どこの市町村でも、きちんとした文書管理が行われているものとばかり思っていました。
それだけに、このアンケート結果に驚くとともに、多くの市町村で、なぜ「理想的」な文書管理が実現できないのか、その理由っていったい何なのだろうと首を傾げてしまいます。人口の多寡や団体ごとの財政状態などがおそらく関係しているのかもしれませんね。
世界、特に米国や西欧の国々では、ファイリングシステムが根付き、日本のそれとは比べ物にならない高レベルだと社内研修で教えられました。一方で、日本の国、地方公共団体の職員自体や、事務の質の高さは他の国を大きく引き離していると聞いたことがあります。文書管理がうまくいっていないのに、事務の質は高いというのは矛盾しているように思うのですが、どなたかこの理由を教えてもらえないですか?
さて、前回No3で”ちょっとお時間いいですか?”のコーナーで取り上げられていた酸性紙問題ですが、今回の6号では1ページを使用する連載に昇格していました。
連載・”紙”問題を考える(第一回)と題し、従来の酸性紙の劣化問題から、保存に適した中性紙の登場や、さらに環境問題・資源保護の流れの中から登場した再生紙などによって、紙問題がさらに複雑になってきた事が書かれており、面白いです。
今回の連載の開始にあたり、文書管理通信編集者が特種製紙株式会社を訪問して、新たにインクの耐久性についても文書の保存問題の重要な要素として考えなければならないと提言しています。
今後の連載が楽しみです。
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