阿見町では簿冊管理方式からバーチカルファイリング方式に切り換えたわけだが、特に建設、土木などの工事を抱える事業課では、1件の文書中に起案から契約、検査、竣工までの文書や図面を時系列で綴じるため、順序の変更がされにくい簿冊の方がむしろ適切である。また補助金事業の場合など、上級官庁からの査察や報告に際しても対応が容易であることなどから、バーチカルファイリング方式は馴染まないなどの声が多く聞かれた。このような文書は1件の文書量も多くなりがちで、その意味でもバーチカルファイリング方式に適さない。現在でも上のような不満が多少残っている。
このような反対意見や不満に対するファイリング事務局の対応策は、以下の通りであった。
簿冊での管理に適しているとの意見のある文書については一度に全てをバーチカルファイリング方式に切り換えるのではなく、適切な理由があれば例外を認める余地を残し、急がず徐々に切り替えを進めて行く事とした。要は無理強いに事を進めることなく、現場の声を聞きながら拙速を避ける方法を採ったといえる。
導入時の反対意見や不満に対するその他の措置として、ファイリング事務局やコンサルタントによる巡回指導を繰り返し行い、ファイリングルールや文書のライフサイクルについての職員の認識を高める努力を行った。 |