これは、3年ほど前に、53歳という若さでがんで急逝された、ミスターラグビーこと故・平尾誠二氏が、サッカー元日本代表監督の岡田武史氏に対して、初対面の時に遺した言葉だそうです。そのこともきっかけの一つとなり、現在岡田氏は、四国・今治で、地域おこしに貢献しながら、サッカークラブの運営に日夜取り組んでいらっしゃいます。掲げる企業理念は「次世代のために、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」。サッカーの指導は、16歳までに型(原則)を習得させ、その後の創造性・自主性を促すという「岡田メソッド」を実践中。最近当人に会われた朝日新聞編集委員の稲垣康介氏に対して、「おれ、今は前よりかなり良い指導者になってるよ」と。大言壮語とは正反対なタイプだけに確信があるに違いない、と記者はコメントされておられます(朝日新聞2020年1月18日「多事奏論」より)。
ところで、執筆中の論考の次回入稿は、今少しお時間を下さい。
130年ほど前に米国で、それまでに無い検索システムとして登場したバーチカル式ファイリングには一種“人工的”なものを感じること。一方で、バーチカルファイリング側から“検索効率の点で劣っている”と言われ(三沢仁著「ファイリングシステム」5訂版)ながらも、いまだに根強く半数以上の日本の役場で使われ続けている“文書を簿冊に綴じる方法“は、自然的であり、心理的抑圧感なく受け入れることができるという感じを持ちます。
この“受け容れ易さ”を単に無定見さ、無原則性である故の自由度と評価するか、それともヒトの脳内活動に由来するがための無理の無さ、抑圧性の薄さであると評価するか・・・ このあたりが微妙なところで迷いが生じ、迂闊に書き始められないという気持ちが強いことが時間をいただきたいと思う一つの理由です。
もう一点、ここにきて執筆が遅れている理由は、バーチカルファイリングに対比して簿冊を取り上げる際に用いるバーチカルファイリング側の用語を整理するややこしさです。米国で案出された当時から現在に至るまで普遍的に使われている「ファイリングシステム」の用語と、日本に移入された同名システムを同じ名称で呼んでよいのかということがあります。
この2つは、同じく「ファイリングシステム」と呼ばれてきましたが、実は似て非なる、別物と言って良いものだったことが、この間の文書管理通信による研究で明らかになってきました。日本の(少なくとも地方自治体に移入されたものは)明らかに米国で認知されているファイリングシステムではなく、「文書の括束用具にバーチカルフォルダを使用するタイプの『レコードマネジメントシステム』」であったのです。詳しくは論文中で改めて説明させていただきますが、以上の理由で、細かくシステム名を書き分けなければならなくなりました。これが2つ目の次回掲載遅延の理由です。
ともあれ、公文書管理の重要性・意義に鑑みるとき、微力ですが、HP文書管理通信上への論考や編集室だよりの執筆を通して、皆様に少しでもお役に立てて、結果、日本の社会がより良い方向に変わっていくことに貢献できるよう、尽力していく所存です。引続き、何卒宜しくお願い申し上げます。
文書管理通信編集室 樹令(いつき・れい)
2020年2月7日 |