今回の特集は栃木県で開催された「情報公開と実践的管理」という文書管理セミナーです。平成12年10月18日に行なわれたセミナーで講師は記録・史料管理研究所代表の松本吉之助氏です。
松本氏は、現状の自治体の文書管理には4つの問題があると指摘しています。@多くの自治体は保存量の把握ができていない。A書庫が満杯である。B劣化、散逸が発生している。C自動検索ができない。です。
これらを解決するために、具体的には、長期保存文書について、マイクロフィルム化を行ない、併せて文書目録を作成することを提唱しています。
ただしマイクロフィルム化すればそれで良いというのではなく、従来の文書管理を、@実態を把握して、A劣化・散逸を防止し、B自動検索のできる文書管理に改善するためには、マクロフィルム化と同時に、文書の検索性を確保することが必要であるとしています。
本誌では松本氏の提唱するマイクロフィルム化の理由と方法を詳しく説明しています。
講演の最後に松本氏は、全国の自治体の実施事例、実施予定自治体の紹介を行ないました。
導入の方法としては、10年以上の長期計画で導入を行ない、その後も継続するという方法をとっている自治体が多いようです。ただ、中には、例えば対象とした永年保存文書の全てのマイクロフィルム化を3ヵ年計画で実施した自治体など短期間で導入を図る自治体もあるということです。また、実施を行なう自治体は大規模であるのが現状ですが、人口10万人以下の市町の事例も増えているとのことです。
講演が行われている間、参加者の方々が席を立つことなく熱心に聞いておられたそうです。文書管理の方法は各自治体の実状によって異なるといいます。従って、ある市や町の成功例がそのまま各々の自治体にあてはめて成功するかといえばそうでもないようです。そのため、各自治体の文書管理の関係者はこのようなセミナーに参加し、自分たちにあった方法を考え実施して行くための材料を得ているのだろうと思いました。文書管理通信第53号全部をPDFでご覧になりたい方はこちらへ! |