第41号の特集は「人口7万人 久喜市の情報センター―久喜市公文書館―」です。
平成5年10月に久喜市公文書館が開館しました。当時人口が7万人の久喜市が独立館として公文書館を整備し得たという事実は史料保存関係者の驚きをもって迎えられたそうです。
久喜市ではほぼ同時期に3つの行政課題が認識され、それらを解決する手段として公文書館が求められました。その3点とは、@保存文書を一元管理するためのスペース及びシステムの確保、A情報公開の統一窓口の整備、B市史編さん事業において収集された史料の保存、ですが、これらは久喜市に限らず、多くの市町村が抱えている問題です。
久喜市における文書管理は、「資料3 久喜市における公文書のライフサイクル」と久喜市における公文書の流れで図と文章の両方で詳しく説明しています。特に、歴史的・文化的文書として保存するための選別期間を文書の保存期間と同じ時間をかけています。「3年保存文書」は完結してから6年後に「評価・選別」の処理がなされるということになります。実際に平成10年9月2日に取材した際には、「評価・選別」を行なった文書は「平成2年の3年保存文書」と「平成3年の3年保存文書」です。
久喜市では、歴史的資料として重要な公文書等として評価・選別した要保存文書は公文書館制度(情報提供施策)、それ以前の段階にある公文書は情報公開制度によって情報を公開しています。久喜市において公文書館の開館と公文書公開条例施行の時期が一致しているのは、公文書館整備の段階から久喜市公文書館を広義における情報センターとして位置づけていたことを意味します。
公文書館に本来求められる歴史資料として重要な公文書等の収集、保存、利用という機能の他に久喜市は公文書館に文書庫機能と情報公開の統一窓口機能をもたせました。
公文書館は本来の目的をおさえた上で、各々の自治体に最もふさわしい公文書館のあり方を選択すべきです。しかし、久喜市における公文書館の事例は、多くの地方自治体が等しく抱える課題を解決するひとつの方向性を示したものと言えます。
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