2025年
2月
掲載記事
雑誌情報
書籍情報
寄稿論文
編集室員論文
最新の特集記事
過去の記事検索
バックナンバー
(1〜55号)
既刊+Web版
記事検索
過去のレビュー
講演・展示レポート
主催・共催セミナー
YouTube講演
直近で実施したセミナー
過去のセミナー
招聘講演

講演リスト

ご利用ください
文書管理用語集
編集室だより
最新送稿
編集主幹紹介
過去の編集室だより

文書管理通信について

小紙の記事構成
「文書管理通信」の歴史
文管ギャラリー
TOPページ変遷
プライバシーポリシー

トップ page
   
Q16
合併後新団体での文書に関わる作業の効率や正確さなどの点で、合併前と比較してどのように変化していると感じていますか。当てはまるもの1つをお選びください。またお答え頂いた理由を□内にご記入ください。(文書管理主管課からみた全庁的な傾向としてお答えください。)
 □ 合併前と較べ改善された
 □ 合併前と同じで変化はない( もともと良好  もともと良好ではない )
   *この項をチェックされた場合は、(  )内で当てはまるものに○をしてください
 □ 合併前と較べてむしろ悪化した
 
 
  「D.その他」
 
どちらとも言えない。(3件)
   
  「A.合併前と較べ改善された」とご回答された団体の追記事項
 
ただし、システムによらない起案も散見されるので、改善されたのは一部のみ。
   
  「回答理由」※
「A.合併前と較べ改善された」…(3件)
 
文書管理システムの導入により効率化が図られたと思う。
合併後は、文書管理主管課(総務課)内の課内室である公文書館準備室の職員が、支所(旧町村役場)に順次出向き保存文書の仕訳作業を行っているため。
文書の取扱いが統一されたことで。
   
  「B.合併前と同じで変化はない」…(3件)
 
変化があるかどうかは現時点において把握することはできないが、おそらく合併時の書類移動状況からみて、大した変化はないと推測する。(B-4…図表16-1参照)
旧町とも文書管理ルールにより管理しており、旧町各町とも似かよっていたため。(B-4)
全ての職員が文書管理システムを使用しなければ効果はないが、実際そうではない。(B-2)
   
  「C.合併前と較べてむしろ悪化した」…(1件)
 
本庁支所間の文書の受渡しに時間を要すため、文書が完結するまでの効率が悪化した。
   
  「D.その他(どちらとも言えない)」…(1件)
 
現時点では調整中のところもあるため。
   
 
質問中には「またお答え頂いた理由を□内にご記入ください。」と記載してありますが、アンケート作成時に枠の記載が抜けていました。大変申し訳ありませんでした。
少数ではありますが、追記して頂いた団体もありますので、掲載致します。
 

 

【分析1】
  図表16−1に示されたように合併前と較べ改善されたと回答された団体が69団体、31%を占めています。逆に悪化したと答えられた団体は34団体、15%に上ります。

 改善された団体が、悪化したと答えられた団体の2倍もあったことは非常に素晴らしいことだと思っておりますが、合併を機に改善と悪化の2方向に分かれてしまったのは、どのような原因によるのでしょうか?

  多少ともこれを解明する手がかりになればと考え、この設問で「合併前と較べ改善された」と「合併前と較べてむしろ悪化した」に回答された団体をQ2の、合併(協議会)における文書管理統合の優先度についての回答結果とつき合わせてみました。

 図表16−2に見られるように、「改善した」と答えられた団体では、Q2の優先度のA(最優先課題)、B(優先度の高い課題)の合計値が67%となり、Q2の本来のA+Bの比率である43%を大幅に上回る結果となっています。また逆に「悪化した」と答えられた団体では、Q2のC(優先度の低い課題)は82%で、Q2本来のCの比率51%を大幅に上回っています。

 この結果から、合併事務における文書管理統合事務の優先度が高いもしくは最優先で検討された団体では、合併を契機に文書管理は従前に較べて改善され、逆に優先度が低い課題であった団体では、合併前より文書管理の状態は悪化していると、結論を一般化出来るのではないかと思われます。


【分析2】
 「改善した」と答えられた団体では、具体的にどのような部分が改善されたのでしょうか?
 また逆に「むしろ悪化した」と答えられた団体では、具体的に何が悪化したのでしょうか?
 残念なことに、このような掘り下げを行う設問を、今回のアンケートでは準備できませんでした。

  しかし少しでもその内容を特定できないかと、「改善した」、「むしろ悪化した」と回答された団体が、他の設問にどのような回答をされているかを洗い出して分析を試みました。

(1)
  Q12、Q12−2において、合併前に構成団体の一部又は全部で電子的文書管理システムを導入していて、合併後に従前のシステム又は別のシステムを全庁に導入したと回答された66団体(=Q12−2でA又はBと回答している団体(予定としていた団体を除く))が、Q16でどのように答えているかを調べ図表16‐3にまとめてみました。

 68団体のうち25団体(40%)がここでは「改善された」と回答しています。Q16本体で「改善された」との回答が31%ですから、+9ポイントは確かに上回りましたが、電子的文書管理システムの導入は「改善」の主たる要素であった、とまでは言えない数字だと思われます。むしろこの図表では、電子的文書管理システムを全庁で導入しているにもかかわらず、「むしろ悪化した」との回答が8団体(13%)も有り、この数字はQ16本体の「むしろ悪化した」の回答率(15%)と大差ない点が問題です。

 要するに、「電子的文書管理システムが合併後運用されていることは、合併前の文書管理の状態を改善することにも、悪化させることにも直接係わっていないのではないか?」という結論が、恐ろしい事に導き出せてしまうかもしれないのです。

 もちろん、運用開始後まだ間もない状態の団体が多いことも想定されるのであって、この短期間には同システムのメリットは出てこず、むしろ新システムの採用初期にありがちな、「操作をマスターするまでは、今までより却って手間がかかる」という現象がこの数字に反映している可能性も否定できません。

(2)
  図表16−3より、上記(1)とは逆に、Q16で「改善された」と答えられた69団体(31%)の中で、明らかに電子的文書管理システムが全庁に導入されている団体は25団体になることがわかります。(1)の推論とは少し違ってしまうかもしれませんが、この25団体については、「改善された」具体的な中身、もしくは「改善された」原因が、電子的文書管理システムの導入、運用にあるのかもしれません。

 ただ、この25団体以外の44団体では、電子的文書管理システムは、少なくとも合併時には導入、運用されていなかったことになります。

 このため、69団体の内の約64%を占める団体では、改善の内容や具体的な改善原因を、他に求めなければなりません。

(3)
  図表16−4、−5は、Q16で「改善された」と回答された69団体と、「むしろ悪化した」と回答された34団体について、Q6、Q11で各々どのように回答されたかを調べたものです。

(これ以外の設問とも全て比較してみましたが、一定の数字の差がみられず、上記の結果と合わせこの2つの設問において、必ずしも明瞭とは言えませんが、比率に相違が認められたため参考に示しました。)

(図表16−4)Q6では、合併前の旧団体ごとの保存文書が合併後にどこで管理されるようになったかを聞いていますが、Q16で「改善された」と回答した団体では、「新団体の本庁が管轄する書庫へ全て移管、又は一部移管した」の比率が、「むしろ悪化した」団体に較べて高くなっています。

(図表16−5)Q11では、合併後の現時点で、旧団体分を含む保存文書の把握状況を聞いていますが、「全て把握できている」と回答された団体の比率が、Q16の「改善された」、「むしろ悪化した」で35%:18%で、明らかな差異が見られました。
   
 もちろんこれらの結果だけで断定することはできませんが、どうやら、改善された内容も悪化した部分も、「保存文書の集中管理」や「保存文書の全庁的把握」の良否に関係しているか、もしくはこれを含むものであろうことは、曖昧ではありますが推測できそうです。


 

Copyright(C) 2005 NPO Ageing Bright Club. All Rights Reserved.
E-mail:info@bunkan.jp