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Q11
現在、文書管理主管課においては、全庁舎の保存文書、特に合併前旧団体分の文書も含め、どのような文書が存在するのか把握できていますか。当てはまるもの1つをお選びください。
 □ 全て把握できている
 □ 一部の保存文書について把握できている
 □ 把握できていない
 
 
  「把握できていない」とご回答された団体の追記事項
 
文書の保存については各課局に任せているため。
保存文書名等を一括で把握できていないため。
 
 

 「全て把握できている」と回答された団体が29%、「一部の保存文書について把握できている」が44%と最も多く、「把握できていない」が27%という結果となりました。

 最も多かった「一部の保存文書について把握できている」の99団体については、Q11−2の回答において、68団体(69%)は、「合併前の(一部の)旧団体で管理されていた保存文書は、元来目録化がされていなかったため、または保存文書の一部について目録化がされていなかったため。」とその理由を述べています。この68団体とQ11−2の他の回答例から類推し、これら99団体の多くに、とりあえず合併の慌しさの中では全てを把握できなかったが、いずれはこの作業を行われる意志を持たれているという雰囲気は感じられます。

 問題は「把握できていない」の61団体(27%)についてです。

 これらの団体の回答の中には追記が添えられているものがあって、その中の「一括で把握できていないため」「文書の保存については各課局に任せているため。」という2つの記述などは、各原課あるいは支所単位では把握しているが、文書管理主管課としては全体の目録を管理するなどの対応は行なっていないといったニュアンスも感じられ、その意味では「一部の保存文書について把握できている」との回答となっても良かったケースもこの回等の中には有ったのではないかとも考えられます。

 小誌の知る事例でも、文書管理主管課(総務課)ではファイリング用具の配布等は行なうが、文書の引継ぎは行わず、従って保存文書の保存、廃棄も各原課が行っているという団体があります。このような団体では、制度的に文書管理主管課が保存文書の把握を管掌しないため、文書管理主管課担当者によるアンケート回答としては、「把握できていない」となってしまったということも想像できます。

 このような制度をもった団体も、全体の27%は多すぎるとしても、それなりの比率で全国に存在するということかもしれません。

 いずれにせよ、合併の慌しさが過ぎた今日となれば、情報公開へのスムーズな対応や、内部事務の効率化の観点から、必然的に全ての保存文書の把握は、どの部署が担当するにしても必須の要件であるため、「全て把握できている」以外の回答の団体でも、急ぎ全体の把握に努めておられるのではないかと小誌としては考えております。

 下の図表11−2は、回答団体の規模別にQ11の回答を比較したものです。

 人口5万人以上の団体では「把握できていない」の回答は明らかに急減しており、30万を超える規模では回答ゼロとなっています。逆に人口1万以下の団体では、「すべて把握」の回答がゼロとなっており好対照です。
規模が大きい団体ほど保有する文書量も大きくなり、保存文書を検索するための目録が必要不可欠となり、逆に1万以下の団体では、相対的に文書量が少なく、目録整備がなされていなくても、属人的管理(担当者の記憶などに頼った管理)で内部事務での検索も、情報公開への対応も可能ということであるのかと推測されます。
 また人口規模が少ない団体では、先に述べた例のように、文書管理主管課が保存文書の管理を管掌しないという制度を持つ団体が比較的多いといった傾向もあるのかもしれません。もとよりこの種の制度は、人口規模が大きく、文書量も膨大な団体では物理的に不可能になるものだと思います。


 もう一点、電子的文書管理システムの導入が行われている団体で、合併時の保存文書把握がどのような状況であったかを、Q11とQ12−2の回答結果を重ねて分析してみたいと思います。

 下の図表11−3では、Q12で合併前に構成団体の一部が電子的文書管理システムを導入していたと回答した団体のうち、当該システム若しくはそのシステムとは異なる新たなシステムを全庁に導入した団体(66団体)が、Q11でどのように回答したかが示されています。

 電子的文書管理システムには当然従前の保存文書管理機能や情報公開対応機能が備えられており、システム導入団体では、未導入団体に比較して、保存文書把握の点でも良い傾向が見られるのではないかと推定していたのですが、結果としては、この68団体の中にも18団体(27%)が「把握できていない」の回答であり、全体としてもQ11の224団体の各回答への比率と(偶然にも)全く同じ比率となってしまいました。

 このことは、電子的文書管理システムの導入が、保存文書の把握に必ずしも結びついていない団体があるという現状をはからずも示していると考えられます。

 電子的文書管理システムが文書の電子的作成、電子決裁や回議、あるいはLGWAN文書の収受など限定された使用範囲内で運用されていて、保存文書の目録管理などシステム化前の公文書管理にまでシステム化が及んでいないケースがあるということかと思われます。


Q11
-2
[Q11で「一部の保存文書について把握できている」と回答した方のみ]
なぜ把握できる文書と把握できない文書に分かれるのか、その理由について□内にご記入ください。
 
 
 
  「理由」
 
合併前の(一部の)旧団体で管理されていた保存文書は、元来目録化がされていなかったため。または1団体の中でも一部の保存文書について目録化がされていなかったため。(68件)※1
合併前の保存文書については、旧団体ごとに管理しているため。          (8件)※2
文書管理システム上に登録されていない保存文書があるため。           (6件)※3
合併前の旧団体ごとに管理方法等が異なり、統一されていないため。       (5件)
永年及び10年保存文書は、文書管理主管課が引継ぎ管理しているが、それ以外の文書は各担当課の責任において管理しているため。
合併前の市町村の文書管理システムのデータを移行したため、システム導入前の文書についてはまだ把握できていない。
保存文書目録と実際保存されている文書との確認作業ができていない。
合併前の旧団体で管理されていた保存文書は元来目録化がされておらず、合併に合わせて目録を作成させたがその精度が不十分であるため。
情報公開制度導入以前の文書は時間の制約によりそのまま手付かずとなっているため。
情報公開の対象となっている文書についてのみ把握できているため。
6月を文書整理期間としてH17.6時点での把握はしているが、その後組織改編があり、6月時点のリストと実際があっていないため。
その他 (3件)
記載なし(2件)
   
 
※1… このうち、現在目録化等の整理作業中であると明記されていたのは、13件。
※2… このうち、1件は「旧町文書はそれぞれ旧町のシステムにおいて管理していたため、新システムへの移行作業がまだ終わっていない(今後対応)。」と回答。
※3… このうち、文書管理システムを導入していない旧団体分の保存文書については合併に伴い、永年保存文書または保存年限10年以上の文書のみをシステムに登録した(その予定も含む)との回答が4件。
 
  Q11の分析に、Q11−2も含めて記述のため省略。

 

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