本書の目的はあくまで阿見町殿の事例を読者に紹介することにありましたが、その中には純粋に報告の記述だけではなく文書管理通信編集室としての分析や見解もいくつか挿入しています。
「事例報告」の範囲を幾分か逸脱した感は否めませんが、本書冒頭で申し上げた通り本事例報告が文書管理担当者の方々の、問題解決への道を微かにでも照らすことを執筆動機としていることから、この目的に沿って読者がより理解を深めるに必須と考え挿入されたものであることをご了承ください。
なお本書ではファイリングシステムによる紙の文書管理の整備が先行し、その後に統合文書管理システムが導入された阿見町殿のケースについて詳述していますが、全国の地方公共団体での紙の文書管理の様々な様態を考えた場合、阿見町と同じ導入手順を経ることが必ずしも適切であるとはいえないケースもあるものと考えています。
現象的には、先に統合文書管理システムが導入され、このシステムが推奨する文書分類に合わせて紙ベースのファイリングや保管用具、什器が整備されるといった、阿見町とは全く逆の手順も有り得るということです。
文書管理通信編集室が、阿見町の事例の中で他団体でも参考にしていただきたいと考える点は、阿見町がどの順番で導入したかとか、どちらの分類に統合したかといった現象面ではなく、二つのシステムを別のものと考えず一つの大きな文書管理システムと把える考え方です。
二つのシステムを一体として考える立場に立ったが故に、阿見町では総体としての文書管理システムを成功裡に導入し得たという点に是非着目して本文をお読みいただけるようお願いいたします。
最後になりましたが、本報告を終るにあたり、ご用繁多の時期にも拘わらず当編集室の趣旨をご理解いただき、快く取材に応じて下さった阿見町総務課の皆様に心より御礼を申し上げます。 |