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公文書管理と民主主義

明けましておめでとうございます。令和としての初新春、いかがお過ごしになられましたでしょうか?それにしても年末年始の逃亡劇に暗殺劇。「事実は小説より奇なり」を正に地で行くような出来事が続きました。オリンピックイヤー2020は、結構動きのある年になりそうな予感がします。でも東京五輪・パラリンピックそのものはつつがなく終わって欲しい。ボランティアやアルバイトとして関わる多くの学生さんにとって、一生に一度の、かげがえのない貴重な体験を積んで欲しい、と切に祈っています。

ところで、この期間読んだ中で一冊、ぜひご紹介させていただきたい本があります。岩波書店刊(2019年5月8日)の「公文書管理と民主主義━なぜ、公文書は残さなければならないのか━」です。岩波ブックレットNo.1000、著者は本来天皇制の研究者であられた瀬畑源先生。前作「公文書問題 日本の「闇」の核心」(集英社刊(2018))から1年以上経ち、なかなか改善の方向に向かわない状況を踏まえ、より冷静かつ中立的、そして短い頁建てにも拘らず平易にお纏めになられたように感じました。公文書管理に関する入門書やグループ読書用として最適の書と思います。情報公開運動がなぜ地方から広がっていったのか、についても簡単に触れておられます(より詳細には前作p.34〜p.35をご覧ください)。

私自身は、「おわりに━市民社会の力を━」の中で述べておられる「「ポスト真実」社会と電子文書の問題」に惹きつけられました。というのも、論考の第二弾として「電子情報化社会と文書管理〜完全ペーパーレスに向かうのか」(仮題)を視野においているからです。瀬畑先生の次回作を楽しみにしています。

そして、この期間一番印象に残った読みものは、日刊ゲンダイ(1月6日)に掲載された同志社大学教授浜矩子(のりこ)先生の「2020年気になる3つの「D」」
   1) Deglobalization(脱グローバル化) 
   2) Decouple(分離)
   3) Disintegration(解体)
 先生は、「融合から分断の時代になってしまうのかどうか----。この3つの「D」がとても気になります」と指摘し、「日本人にとっては、当たり前だと思っていた環境が、劇的に変わっていく時代を迎えたと言えるでしょう」と続け、最後に「日本人よ、目覚めよ!」と括っておられます。

私は、この「D」に加え、令和時代に起きること7〜8割以上の確率と言われている南海トラフ大地震をはじめとする「Disaster(災害)」を加えた「4D」を意識しつつ、1年を過ごしたいと考えています。本年もご指導ご鞭撻ご支援下さいますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。 

文書管理通信編集室 樹令(いつき・れい)

2020年1月10日


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