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棚卸し(第一線時の文書管理)

編集室だよりNo.36(20190208)で紹介した通り(「指差し 記号」の画像検索結果、サラリーマン時代*1、私は「文書管理」という意識を全く持たず、文書を作成・利用・保管などしていました。こちらに来て半年ほど経ちましたので、知り得たファイリングや文書管理の知識なども踏まえて、今回、当時実際にどのようであったかを、差し障りのない範囲で、職掌別時系列的(それぞれの期間は5〜9年間)に纏めてみます。

詳細は後述の通りですが、まず、概要を箇条書きします。

1) 共有ファイルが利用されてきた案件を担当する場合は、前例にならいました。

2) 新規案件を担当或は企画立案実行するケースが多く、長かった部下ナシの期間や、一気に部下が増えた時代は、部長直下のプレイングマネージャーとして、自身の完全な管理の下で職務を遂行したかったため、自分専用ファイルを駆使して仕事をしました。

# 資料などの保管スペースがかなり広かったので、遠慮なく使わせていただきました。

# 案件毎に紙ファイル(厚さ1cm内)を用意し、時系列に綴じながら保管。厚くなれば増冊。

#  以下のように、保管場所に応じて、編綴紙ファイルを時系列的にファイリング。
  ・ 机上(周圏的ファイリング、部分的にクリアファイルも活用)
  ・ 引出(マル秘扱資料含め、案件毎紙ファイルに綴じてバーチカル的に保管)
  ・ 共有棚(案件毎に、紙ファイルを丈夫な紙袋に入れて、ボックスファイリング)
  ・ 会議室裏の空きスペース(B4以上のファイルや異形物などの保管)

# 定期的(数か月〜半年毎の発表時)に該当ファイルを見直し、不要資料は廃棄・整理

# 定期的(年末毎)に、大掃除の際、資料全般をチェックし、不要資料を廃棄・整理

# 秀丸(テキスト)ソフトのgrep検索機能を利用し、即時検索やKJ法的に蓄積データを活用

特徴を一つ挙げるとしたら、物事を考えたり纏めたりする際に、時系列で捉える事が重要だと思っていましたので、部分的にクリアファイルを利用する場合を除き、資料は必ず綴じて保管していました。

< 以下詳細(ご参考までに)>

1) 研究職

出願を含めた特許対策のため、事前登録済の厚表紙の専用ノートに、直に、日々した事・結果・考え方などを記入していました。勿論、社外持出は厳禁でした。

2) 本社職掌A

企画系の職掌(担当分野は結構広範囲)であったこともあり、分野別に、巾1cm程度の紙ファイルに、時系列で、精力的に情報収集し続けていました。そして、個別案件として、姿がある程度見えてきたら、そのものは別ファイルを新たに用意して管理しました。
中でも特許出願などの権利関係を狙えそうなものは、差別化を図るための関連情報の収集量が増えてくるため、2〜3冊程度に増えていくものもありました。また事業の早期実現や広範囲展開の可能性を探り、協業できる会社・機関・大学などが無いか、積極的に探索していましたので、こちらも同様、個別ファイルが増えていきました。

2〜3か月に一度、公式発表・提案等の場があり、その時用意した公式資料一式を担当責任部署に残し、部下ナシだったこともあり、その写しとそれ以外の資料はすべて自分専用の紙ファイルに綴じて(資料作成時に項目別・時系列に整理済)、机の引出の中にしまいました。よく使う資料は、「極秘扱」のものを除き、机の上に、案件毎に紙ファイルに綴じて積み上げていました、机上のものを含めて max 0.8 f/m 程度でした。

3) 本社職掌B

主として、ある分野の予算管理と産官学連携プロジェクトの運営支援を担当させていただき、前者は担当分を半期毎に取り纏め上司に提出し、コピー一部を、自分専用ファイルに時系列に綴じて、引出内に保管。後者は、月1度の会議に出席し、配布される資料(前回の議事録含む)を、大テーマ毎に、共有棚に置かれている過去からあるチューブファイル(巾5〜10cm)に時系列に編綴しました。

別に感心を持った新規テーマの情報収集分は、自分専用紙ファイルに案件毎に綴じて、引出の中に時系列で保管。時折見返して、整理し直ししていました。(巾1cm×数冊)

4) 本社職掌C

企画立案・推進実行系の職掌(担当分野は結構広範囲)で、部長の下、部下5〜6名を管理・指導し、相当額の予算を使わせていただき、プレイングマネージャーとして企画運用。大別すると次の通り。

  即時対応が求められる案件は、分野別に担当者を決め、運営。
      1案件紙ファイル1つに編綴(各完結後、関連資料は最小限にすべく廃棄圧縮)
  イベント案件は、完結時点で、関係先の協力も得て実施報告書を作成。
      max2cm程度のバインダーに編綴されたものを共有棚に保管
  成果物ができあがる案件は、その成果物を1点、共有キャビネット内に保管。
      かなり昔のものは、地下倉庫に保存
  予算管理(計画・運用・評価)は、半期毎に経理部に資料提出・了承伺い
      部として紙の資料を一部保管するも、基本は社内ネット上にエクセルで保管
  予算含めて、年2回、事前に、向こう半期に実施予定の全体像を提示
      社長、副社長、各部署担当役員全員出席の場で発表・承認受く場を経る事が必須
      発表資料は1部部内保管し、一部自分用ファイルに関連資料含めて保管

このように極めて広範な情報収集・整理が必要だった為、次のようにしていました。
      社用紙袋が、飲料などの持ち運びにも使える位丈夫なものであったため、
         それをボックス代わりに用いたボックスファイリング
      棚・会議室裏のスペースがかなりあったため、数f/m自分専用で活用
      机上は、日頃よく使う資料を周圏的ファイリング *2
      (利用頻度の高い)中2段の棚・その棚の紙袋は、
         押し出しファイリング*3の考えを応用(経済学者野口悠紀雄)
      各種情報は、テキスト文書にキーワードを打ち込み、パソコンに保管
         必要に応じて、秀丸のgrep検索を活用
            (フォルダやファイルの種類を指定しての一括高速文字検索可)

共通ファイルを利用してきた案件は、それを踏襲したものの、それ以外の案件(基本新規案件)は、部下なし状態か、一気に部下が増えたものの、部長との間のプレイングマネージャーとして完全管理下で職務を遂行したかったため、自分専用ファイルを駆使して仕事をしました。

仕方なかったと思う反面、文書の私物化の最たるもので反省もしています。ただ秀丸のgrep検索機能が優秀だったので、即時検索などで困ったことはありませんでした。

 *1 ; 従業員規模8000人弱
 *2 ; よく使うものは手近くに、あまり使わなくなったものは少し遠くに置くという整理法
 *3 ; 「「超」整理法1 押出しファイリング 」野口悠紀雄、中公文庫 (2003/5/23) など

「文書管理通信」編集委員見習い  樹令(いつき・れい)

2019年5月31日


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