今日から3月、新年度に向けて、いろいろ忙しくなる時期を迎えました。特に今年は改元の年なので、例年以上になんとなく忙しく感じているのは私だけでしょうか?発展的であれば良いのですが、時の天候に左右されるとは言え、ここ旭川の除雪作業の滞りは何かを暗示しているようで、春への期待感に乏しいのが残念です。
さて、暗い話はこれくらいにして、今日は、公務員の数について、考えてみます。「一目でわかる自治体の文書管理」(第一法規刊)では、新庁舎建設の検討が進められているある市役所(職員数500人、48課)の文書係長を主人公にして、物語形式で話が綴られています。この500人というのは、どの位の規模なのか、興味がわき、調べてみました。
地方公務員数の状況を示した総務省のHPから詳細データにアクセスし、平成29年4月1日現在市区町村(指定都市除く)データを見ると、日本全国に1700以上もの市区町村があり、そこで90万人余の方々が働いていらっしゃることがわかります。5,520人の鹿児島市を皮切りに、500人の日進市(愛知)まで503の市区町村が続き、499人以下ミニマム18人の平谷村(長野)まで1200余、200人以下で見ても700以上の市区町村があります。ちなみに旭川市は3,010人で36番目に位置しています。
今執筆させていただいている編集室だより、最初の時点で、渡邊主幹に「個性」を大事にして書いていきたいと申し出て、許されました。勿論自ずと限度はありますが、「本性」+「60年にわたる経験・知見」を基本に据えたい、ということです。勉強中とは言え、未経験且つ門外漢である私が、専門家である皆様に向かって執筆する、そこに何かお役に立てることがあるとしたら、それは私ならではの個性に基づくものでないか、と考えたからです。その矢先、先週紹介させていただいた沖縄公文書講演会(平成21年度)での後藤先生の言葉「自治体として個性ある独自の法制化」というのはものすごく印象に残りました。
常に現場と接しておられる地方公務員の皆様の場合、国とは異なり、それぞれの個性がより一層重要視されていくのではないでしょうか?それぞれの地域特性があり、それが継続性と人間性の狭間でダイナミックに推移していく。文書管理に関しても、大原則はあっても、基本、個別最適化で取り組むべきものではないか、と考えます。
財政難の中、少子高齢化が進む途中で大幅な人口減にも見舞われるトレンドに対して、外部の力も借りながら、創造的・共創的に、主権者たる市民にグッジョブで奉仕する、それを裏打ちする一つのテクニックが文書管理(システム)の今後の有り方ではないかと考えています。
ところで、最近、以下のような書籍があることを知りました。ここの所の社会問題から、統計に携わる人が極めて少なくなったことが指摘されていますが、もっと以前の根本的な問題として、他の先進国に比べて日本の公務員数は極めて少ない、ということを指摘した書籍とのこと。ぜひ一度読んでみたい。
『市民を雇わない国家━日本が公務員の少ない国へと至った道』
前田健太郎 (東京大学出版会、2014年)
「文書管理通信」編集委員見習い 樹令(いつき・れい)
2019年3月1日 |