東北大震災に際して、「文書管理通信」編集部では、どのような対応もできなかったというのが実情でした。阪神淡路大震災時には、震災当日から数日で神戸市役所、西宮市役所に駆けつけ被害実態等の調査を敢行したのとは大きな違いでした。
東北大震災直前の担当スタッフの退職と代替要員の確保ができなかったことなど、言い訳にもならないことでした。結果として、できたことと言えば、被災地に出向かれ献身的に被災文書の修復や被害調査に携わられた方々から発信された情報を探し出し、ひたすらファイルすることだけでした。「文書管理」と「通信」を誌名に掲げながら赤面するばかりです。
被災地の皆様、また全国の読者に心よりお詫び申し上げます。
私どもが現時点でなすべきことは、大規模災害に備えた文書管理のあり方を皆様と共に考えることにあると思っています。
今後、小誌誌面を使い、また文書管理セミナーの開催といった手段でこの作業に着手したいと思います。以下は収集資料から編集部が分析した意見ですが、日常的に地道になされるべきファイリングシステムの構築運動に交差させて、(1)「現用文書」、「常用文書」の中から抽出した災害復旧に必須な図書の保全、(2)決して失われてはならないアーカイブの安全保存の2つこそが、文書管理施策上、直ちに取り組まなければならない課題ではないかと考えています。
この度開催させていただくセミナーでは、この2つの課題に向き合うことを主題として、講演内容、展示品を準備いたしました。
皆様には、日々御用繁多のことと存じますが、当編集室の意のあるところをお汲みいただき、セミナーへのご出席、展示機器、ソフトウェアのご見学を賜りますようお願い申し上げます。
平成25年7月吉日 文書管理通信編集室(NPOエイジングブライト倶楽部) |