【 自治体総合フェアー 2007 】 |
H19.7.11-13 |
今回は、電子自治体フォーラムから下記をレポートさせていただきます。(講演より抜粋)
講演会場は満席で皆様の関心の高さが伺われました。
講演は、グラフと図表資料を中心とした大変分かりやすいもので、地方公共団体が目指す今後の指標をより一層理解することができた講演でした。
当日レジュメにも使われたグラフと図表資料については、総務省よりH19.3.20に発表された「新電子自治体推進指針の策定について」、「新電子自治体推進指針」(本文)に掲載されております。 (当レポート末尾に参考としてリンクして有ります)
なお、残念ながら都合で、説明を割愛させていただいた部分がありますことご容赦いただければと存じます。
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【講師とテーマ】 |
演題 |
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「電子自治体の今後の方向性について」
~新電子自治体推進指針と総務省の取組~ |
講師 |
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総務省自治行政局
前 地域情報政策室長 元岡 透 氏 |
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1. IT新改革戦略
2. 新電子自治体推進指針
3. 行政サービスの高度化
4. 行政の簡素化・効率化
5. 地域の課題解決
6. 情報セキュリティ対策の強化 |
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1.【IT新改革戦略】 我が国のIT戦略と電子自治体の展開 |
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【電子自治体の目標】 |
2010年度までに利便・効率・活力を実感できる電子自治体を実現 |
【電子行政の目標】 |
世界一便利で効率的な電子行政 -2010年度までにオンライン申請率
50%達成等
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2.新電子自治体推進指針 |
(1) |
電子自治体の構造状況 |
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○ |
【都道府県】と【市町村】 別に次の3項目を比較し、
市町村での住民向けサービス実施率が低いことを指摘している。(H18.4.1) |
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a. 推進体制・基盤整備
b. 住民向けサービス
c. 情報施セキュリテイ対策 |
(2) |
住民オンライン手続きの利用経験 (過去2ヵ年の変化) |
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○ |
オンライン手続き申請の利用者は住民の約14%(昨年は11.7%) |
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○ |
微増ではあるが、利用者やニーズの顕在化が見られる |
(3) |
主なオンライン利用促進対象手続きの利用者満足度 |
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○ |
次の4つの手続きにおける利用者の満足度調査から見ると積極的評価が7~9割有り、利用者の満足度は高いとしている。 |
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a. 図書館の図書貸出予約
b. 文化・スポーツ施設等の利用予約
c. 粗大ゴミ収集の申込
d. 研修・講習・各種イベント等の利用予約 |
(4) |
自治体ホームページの利用状況と内容/使いやすさの評価 |
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○ |
4人中3人は自治体ホームページの利用経験が有り、 |
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○ |
その内1人は継続的に利用している。 |
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○ |
内容・使い易さの評価では、6割が普通と答え、残りの23.8%は消極的評価であり、満足度が高いとは言いがたい。 |
(5) |
新電子自治体推進指針の全体像(H19.3) |
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取り巻く環境の変化、電子自治体の現況・課題(注1)の考察から、「今後の電子自治体の方向性の提示」を必要とした策定の背景を述べ、続いて新指針の目標を掲げ具体的な項目の解説を行なっている。 |
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(注1) 電子自治体の課題
○住民サービスに直結する地方公共団体の電子化が充分でない等、国民・企業など利用者が
利便性・サービスの向上を実感できない。
○業務システムの効率化が不十分
○ コミュニュティ再生、安全、安心な地域づくり等の地域の課題解決にITの有効活用が必要
○情報漏洩等への対策の実効性が不十分 |
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【実現に向けた取組方針】 |
・ 住民視点
・ 費用対効果の視点
・ 民間事業者やNPOとの連携推進 |
【今後の重点的な取り組み事項】 |
・ 行政サービスの高度化 |
・ 行政手続等のオンライン化、利用の推進 ⇒ 2010年度までに利用率50%達成
・ 行政手続等の完全オンライン化の実現 ⇒ 申請、手数料納付、証明書等の受領
・ 官民連携ワンストップサービスの実現
・ 住民への分かりやすい情報提供と行政の透明性拡大
⇒ 住民視点のHPに刷新・改善
・ その他の取組事項 ⇒ 電子投票の導入促進 、 統合型GISの導入促進 |
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・ 行政の簡素化・効率化 |
・ ITを活用した行政改革の推進
⇒ 全体最適化の見地から業務の効率化、組織の見直し等の行政改革を進める
・ 情報システムの見直し、刷新
⇒ オープン化、マルチベンダーの採用により運営経費の縮減を図る
・ 情報システム調達の透明化・効率化
⇒ 競争、分割、複数年度の入札で適正価格での高品質システム調達を実現 |
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・ 地域の課題解決 |
・ ICTを活用した地域の課題解決
⇒ 安全・安心な地域づくりを官民協働で進める
・ 地域の情報格差の解消
⇒ ブロードバンドゼロ地域の解消、携帯電話の利用可能エリアの拡大 |
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【共通的な推進事項】 |
・ 電子自治体の推進体制の強化 |
・ 電子自治体の I Tガバナンスの強化
⇒ CIOを中心とした推進体制の拡充。 PDCAサイクルの確立
・ 電子自治体の中核を担う人材の育成
⇒ 情報担当部門と業務担当部門の双方で計画的に育成 |
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・ 共同化・標準化の一層の推進 |
⇒ オープンな標準仕様の活用 |
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・ 新しい技術・モデルの活用 |
⇒ 民活により効率的なシステム構築を図り、
住民が利便性を実感する行政サービスを提供。 |
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・ 情報セキュリテイ対策の強化 |
・ 個人情報の適正な取扱い
⇒ しかし、あまりに過剰反応して、情報公開を妨げないように注意
・ 情報セキュリテイ対策の徹底
⇒ 対策の実効性確保とレベル向上を図る。
情報漏洩事案の予防に積極的に取り組む |
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【ベンチマーク指標の設定】 |
・ 総務省において毎年推進状況をフォローアップし施策にフィードバック |
この指針は I T 至上主義ではない!
ITだけにこだわらず、
・ コールセンター ・アウトソーシング 自動交付機 等の拡充を視野
に入れて、自庁に即した電子自治体を目指して欲しい!!
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3.行政サービスの高度化 |
(1) 地方公共団体におけるオンライン利用促進に向けた取り組み |
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・ オンライン利用促進計画の策定
・ 利用者視点にたったシステムの改善
・ 利用者へのメリットの拡大
・ 住民等への広報・普及の強化 |
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(2) 電子自治体オンライン利用促進指針の概要 |
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・ 基本的な考え方 : 効果のあがる手続きを更に重点的に促進
・ 利用者視点にたった促進 (← 職員が使ってみればより使い勝手が判明する。)
・ 全庁的な推進体制の構築が大切
総務省・地方公共団体双方の努力で50%以上の利用達成を目指す!
総務省で、毎年の利用率を把握し公表する。 |
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(3) オンライン利用促進手続きの平成17年度利用実績 |
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・ オンライン利用率 |
11.3% |
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・ 利用率の高かったもの |
図書館図書貸出予約等 (11.1%)
文化スポーツ施設利用予約 (24.2%)
入札関連 (6.55%)
港湾関係手続き (26.0) |
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(4) 電子自治体推進のための住民アンケートと改善のポイント(H19) |
オンライン手続きの利用促進 |
利用しない理由 |
本人確認や事前登録等の別途の手続きが必要 |
セキュリテイに不安を感じる |
期待するメリット
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ノンスットップサービスの提供 |
手数料の低減 |
処理時間の短縮 |
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自治体ホームページの改善 |
コンテンツニーズ
の高いもの |
防災 ・ 防犯
子育て支援 |
利用率は低いが
関心の高いもの |
電子アンケート
意見募集 |
不満ベスト3 |
欲しい情報が得られない、不足している(55.1%)
メニューがわかりにくい(48.5%)
どのサイトにアクセスすればよいのか分かり
ずらい(36.8%) |
HP改善の
ポイント |
住民が知りたいコンテンツを充実させる
住民が利用しやすいHPにする
携帯電話のサイトを充実させる |
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(5) 住民にとって利便性の高い電子申請の実現に向けた調査研究
(H19年度実施予定) |
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4.行政の簡素化・効率化 |
(1) ITを活用した行政改革の推進の実現手段としての自治体EA |
◆ システム部門のみならず、「紙」や「口頭」で行なっている部門を含めた
全体最適化を図る。 ← 重複の排除、欠落の補強
← EA(Enterprise Architecture)の活用
◆ 業務・システムの一体的な改革を図る
◆ 総務省から、手引き「業務・システム刷新化ガイドライン」を自治体へ提供 |
(2) 共同アウトソーシングの推進 |
民間のノウハウを活用し、低コストで高いセキュリテイ水準のもと共同データセンターにおいて
情報システムの運用を行なう。 |
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◆ 仕様が公開された標準的な技術を利用する
◆ 地域企業が受注可能な単位にモジュール化
◆ 業務システムを徹底的に可視化し、全体最適の視点から設計管理 |
(3) システム効率化ベストプラクティス集の公表(H19.1) |
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5.地域の課題解決 |
総務省/LASDECにおけるこれまでの取組 |
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6.行政セキュリティ対策の強化 |
(1) 地方公共団体で発生した主なセキュリティ事故(H18.4以降) |
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・ 職員からの流出
・ PC等の盗難、紛失
・ 業務委託先からの流出 |
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(2) 情報セキュリティ対策の考え方 |
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⇒ PDCAサイクルの繰り返しによるセキュリティ対策の水準の向上 |
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(3) 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン の見直し(H18.9) |
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・ 情報の格付けや取り扱い制限の明示
・ 責任主体を明記し、権限と責任を明確化 等 |
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(4) 地方公共団体における情報セキュリティ監査に関するガイドラインの見直し(H19.7) |
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・ 監査水準の強化
・ 監査準備作業の軽減 ← ポリシーガイドライン
・ 監査項目の簡素化
従来の975項目 ⇒ 317項目に (必須監査項目110項目を選定) |
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(5) 情報セキュリティ監査チェックリスト |
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・ EXCELファイルで提供 (自治体で加工、編集も可能) |
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(6) 地方公共団体職員を対象とする情報セキュリティ研修 (総務省、LASDEC) |
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・ 高度情報セキュリティ研修
・ e-ラーニングによる情報セキュリティ研修 |
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(7) 自治体間でセキュリティ情報を共有する仕組みの実証実験 |
(8) LASDECによる「自治体セキュリティ支援室」の設置 |
LASC (Local Authorities Security Support Center) |
(9) 情報セキュリティ対策に関する運用手引き・ツールの作成(H19年度実施予定) |
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終わりに |
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と結ばれました。 |
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レポート文責 : 「文書管理通信」編集室 主幹 中村信幸 |