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トップ 既刊号 > 特集 > 2 - 2 - 3 - 1.2つのシステムの運用における2つの基本ルール

2 - 2 - 3.ファイリングシステムと統合文書管理システムの相互関係

2 - 2 - 3 - 1.2つのシステムの運用における2つの基本ルール

  取材の中で確認された事項や、提供された資料からの判断であるが、阿見町におけるファイリングシステムと統合文書管理システムとの相互関係においては、次にみるような2つのルールがその根幹をなしているように思える。
(1)

文書分類及び運用方式の同一性のルール

 

阿見町においては、2−2−1で触れたように統合文書管理システムのメーカー選定の段階で、既存のファイリングシステムにおける文書分類をそのまま取り入れることのできるシステムであることが第一要件であった。

従って現行システムでは、表1に見られるように、ファイリングシステムでとられている課別管理と、課の下位分類としての第一、第二ガイド、その下のフォルダー名となる階層をそのまま受け入れて運用している。(本来統合文書管理システムではもっと多くの階層化が可能)

また統合文書管理システムでは、阿見町で採用されている(株)くろがね工作所式の積上げ方式にも原則として対応し、毎年度ごとに異なった分類をとること及び文書発生ごとに随時ガイドとフォルダーを生成する設定で運用されている。

ちなみに、日本電気(株)の統合文書管理システムでは完全な割付け方式で毎年度同じ分類を踏襲する方式と、阿見町タイプの積上げ方式で年度ごとに異なった分類を行う方式の2つのいずれをも選択可能である。

 
−表1−課単位での分類

 

分類単位

統合文書管理システム

ファイリングシステム

a

第1ガイド

b

第2ガイド

c

フォルダー

d

個別ファイル名

なし

 

文書分類を相互に同一とすることにより、統合文書管理システムで必要な文書を検索し、当該文書のガイドとフォルダー名が確認できれば、キャビネット内(現年度文書と前年度文書)の紙文書に関しても電子文書同様そのガイドとフォルダー名で探し出すことができる。

総務課に引継ぎされた保存文書に関しても、統合文書管理システムで検索ヒットした当該文書の所在情報によって紙文書を引き出すことが可能である。

(2) 紙文書を主体とする文書の保管ルール
 

阿見町では、たとえ電子的に作成された起案文書であっても、必ず印刷出力し、紙の状態で決裁されている。また決裁が終った紙文書はファイリングシステムのフォルダーに格納することを原則としている。当初作成された電子文書も当然統合文書管理システムのフォルダーに格納することになる。

このような側面から見れば2つのシステム側に各々紙文書と電子文書が置かれている状態となるが、しかし一方、元々紙のみで作成された文書や、外部から紙の状態で収受した文書の実物はファイリングシステム側にしか存在せず、統合文書管理システム側ではフォルダー名として登録するものの、中身は空という状態となる。 (その逆に、メール通信文などの決裁を要さない電子文書は、統合文書管理システム側のみに保管するといったケースがあるが、これは電子メールの受信の際に電子認証を行うため、公文書としての原本性が確保されている。ただしこういった電子文書の量は、現在のところ極めて少ないとのことである。)

以上のことから、阿見町ではあくまでも紙文書が本来の公文書であって、統合文書管理システム上の電子文書の扱いは、紙文書の控えあるいは文書検索上のインデックスデータの意味合いが、少なくとも今の時点では強いのではないかと推測される。

統合文書管理システムの電子決裁システムが未導入である事は前述したが、このことは電子的に作成された文書が公文書として認証されるシステムがまだ出来上がっていないということでもあって、その意味でも阿見町における公文書の原本はあくまで紙文書だということであろう。

紙文書を原本として必ず保存するというルールは、統合文書管理システム導入の契機の一つにペーパーレスオフィスを挙げていることからすると、むしろ逆行した考えにも思えるが、電子決裁システムが未導入で、法的な原本性の問題がクリアできていない点から考えれば、現時点では止むを得ない判断であると考えられる。

また、技術的な問題から考えても、紙を発生時点で電子化して統合文書管理システムのファイルとして格納するためには、スキャナへの読み込みから作成した画像の特定フォルダー内に保存するといった一連の流れの作業を誰でも簡単に行なえる優れたヒューマンインターフェースが必要であるが、これを実現するためにはかなりの投資が必要で、図面などの大型文書を一般文書と同じようにこの流れの中で簡便に処理ができるのかは非常に疑問である。

このような技術的側面やコスト面を度外視してペーパーレス化を言う事はナンセンスであるし、また現実的では無いと考えられる。

 
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